筋トレ頭痛(運動時頭痛)の原因・対処法

運動中に生じる筋トレ頭痛とは?

運動時頭痛は、運動中に突然発生し、特にウェイトトレーニングの最中に起こりやすい頭痛です。例えば、

  • 運動中に急に頭痛が発生し、しばらくすると治まる
  • 同じ運動をするたびに頭痛が繰り返される
  • 最近では運動時以外にも頭痛が発生するようになった

といった症状を訴える方が多く、主に20~50歳の男性に多い傾向があります。

これらのような典型的な症状を聞くだけで、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血やRCVS(可逆性脳血管攣縮症候群)が疑われることもありますが、これらのような重篤な病気ではないのかを確認するために、MRIやMRAの検査が必要になります。

筋トレ頭痛(運動時頭痛)の原因

もともとの慢性頭痛が運動で誘発される

片頭痛などの慢性頭痛を持っている方は、筋トレやスポーツによって頭痛が誘発されることがあります。特に、低血圧、疲労、脱水などが片頭痛を引き起こす要因となります。

後頚部の筋肉への過剰な刺激

腕・肩・首に強い負荷がかかる運動では、後頚部(首の後ろ)の筋肉にダメージが蓄積し、頭痛を引き起こすことがあります。特に、以下のような運動では注意が必要です。

  • 上肢に負担がかかる筋トレ(ベンチプレス、ショルダープレスなど)
  • 首を多く使うスポーツ(格闘技、バドミントン、バレーボールなど)

これらの運動を行う前には、十分なストレッチや準備運動を行い、筋肉への負担を軽減しましょう。

脱水症状による頭痛

激しい運動による大量の発汗が体内の水分不足を引き起こし、脱水症状として頭痛が生じることがあります。脱水はめまいや吐き気、倦怠感などの症状を伴うこともあります。適切な水分補給を心掛けましょう。

酸欠状態による頭痛

激しい運動や登山などで酸素消費が多くなったり、酸素の薄い環境に居たりすることで酸欠状態になると、血液中の二酸化炭素の濃度が上昇することで血管が拡張して頭痛が発生することがあります。また、マスクを着用して運動することで呼吸による換気が十分にできないために酸欠が悪化する可能性もあります。

低血糖

運動前に十分なカロリーを摂らないと、運動中に血糖値が低下してしまい脳へのエネルギー供給が不足することで頭痛を引き起こすことがあります。

首や肩の筋肉の緊張

運動中の姿勢やフォームが不適切だったり負荷がかかり過ぎたりすることで、首や肩の筋肉が緊張し過ぎることで頭痛を引き起こすことがあります。

一次性運動性頭痛

特に頭痛の原因となるものがなく頭痛が誘発されることがあり、一次性運動性頭痛と言います。運動の中止にて自然に治まってきますが、繰り返すような場合は治療薬にて対処します。

筋トレ頭痛(運動時頭痛)への対処法

運動時頭痛を防ぐためには、運動量の調整、適切なウォームアップと水分補給が重要です。

そして、痛みを感じたらすぐに運動を中止しましょう。頭痛時は患部を冷やすことで痛みが緩和することも多いです。

また、予防薬や痛み止めによる薬物療法の適切な活用や、必要に応じた医療機関の受診も検討しましょう。適切な対策を行いながら、安全に運動を続けていくことが大切です。

運動量の調整

運動中に頭痛が起こりやすい場合は、運動量を調節し、後頚部の筋肉に過剰な負荷がかかるようなトレーニングを避けることが重要です。その日の体調に合わせて、無理のない運動メニューを組みましょう。

十分なウォームアップ

運動前にはストレッチや準備運動を十分に行い、筋肉への負担を軽減することで、頭痛の発生を防ぐことができます。

適切な水分補給

脱水症を防ぐために、運動中だけでなく、日常的にこまめな水分補給を心がけましょう。運動中に脱水症状が現れた場合は、風通しの良い場所に移動し、十分な休息を取ることが大切です。

頭痛を感じたらすぐに運動を中止

運動中に頭痛を感じたら、無理をせずすぐに運動を中止しましょう。特に片頭痛の発作が起きている場合は、早めに運動をやめることが症状の悪化を防ぐ上で重要です。

薬物療法

運動時頭痛の治療には、インドメタシンなどの鎮痛薬の服用が有効とされています。ただし、二次性頭痛(脳腫瘍や脳出血といった別の疾患が原因で発生する頭痛)の可能性もあるため、頭痛専門外来への受診をお勧めします。問題がない場合でも、必要に応じて予防薬の使用や、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)への進展がないかを経過観察することが大切です。服用は必ず医師の指示に従って行いましょう。

なお、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)についてはこちらを参照してください。

患部を冷やす

頭痛が血管の拡張によって引き起こされている場合は、患部を冷やすことで血管を収縮させ、症状を和らげる効果が期待できます。

初めての運動時頭痛は専門医の受診を

運動時頭痛は多くの場合、適切な対処で軽快しますが、初めて経験する場合や症状が続く場合は、脳神経外科の頭痛専門医の診察を受けることをおすすめします。特に突然の激しい頭痛や意識障害を伴う場合は、くも膜下出血の可能性もあるため、速やかに医療機関を受診して、MRI検査等の検査を受けるようにしてください。