一瞬ズキッとする頭痛とは

一瞬「ズキッ」とする頭痛は、神経痛や脳血管の異常が関係している可能性があります。
例えば、頭を回したり、咳をしたりした際に、後頭部に電気が走るような痛みが数秒間生じる場合、神経痛の可能性があります。また、脳腫瘍や脳の血管が三叉神経に接していると、顔面にズキズキとした痛みが生じることがあります。
さらに、解離性動脈瘤という病気では、血管の壁に損傷が生じているため、鎮痛薬が効かないズキズキとした頭痛が持続することが特徴です。
たとえ一瞬の痛みでも、繰り返し起こる場合は、重要なサインである可能性があります。気になる症状がある際は、放置せずに早めに当院までご相談ください。
頭が一瞬ズキッとする原因
後頭神経痛
後頭部に起こる鋭い痛みで、この部分の皮膚を担当する感覚の神経に沿って発生します。
どの神経に起こるかにより3つの分類があり、大後頭神経痛、小後頭神経痛、大耳介神経痛となるのですが、これらを総称して後頭神経痛と呼びます。
神経痛は鋭い痛みで神経障害性疼痛とも呼ばれます。
後頭神経痛の症状
ズキンとした刺すような独特の強い痛みが後頭部に発生します。
多くの場合では後頭部の左右どちらか半分だけに起こり単発なのですが、時には不規則に繰り返し起こるために不快に感じます。
痛みが起こった後はジリジリとした感じが残ったりもします。
痛みの起こるのは頭であり程度も強い痛みなのですが、脳卒中などのこわい病気の前触れとも違って命に係わるような深刻な頭痛ではありません
後頭神経痛の原因
何らかの理由で後頭神経が過敏になっている時に刺激を受けることで強い痛みとして発生するとされています。様々な原因の可能性がありますが、原因不明であることも多いです。
後頭神経痛の治療方法
痛みが一時的な場合も多く、経過観察によって1週間ほどで自然に治ることもよくあります。
しかし、痛みが不規則に続いて発生するような時には通常の痛み止めや神経障害性疼痛に対する薬を使用します。
神経障害性疼痛に対する薬は眠気などの副作用があることから、これらの薬を服用ができない場合には神経ブロックを行ったりもします。
痛みに直接作用しないものの、神経の回復を目的としたビタミンB12(メチコバール)の内服も有効とされています。
三叉神経痛
片側の顔面に痛みが起こる場合は、三叉神経痛が疑われます。
三叉神経は主に顔面の感覚を担当する神経であり、おでこ(前額部)からあご(下顎部)までと口腔内などの範囲を担当するものです。
そのために、この神経による痛みは顔の部分に限って発生し、鋭い痛みであることが特徴です。特に頬や鼻の周囲に触れることで痛みが誘発されるため、会話や食事、髭剃り、歯磨きを避けてしまう方もいます。
三叉神経痛の症状
痛みの多くは刺すような激痛であり、顔面や前額部、下顎部、口腔内といった部分に発生します。
特に口腔内や下顎部に生じると虫歯になったと勘違いして歯科治療を先に受けてしまうことも多いです。
痛みのほかの症状としてはしびれた感じや熱い感じなどです。ほとんどの場合、顔の片側だけに症状を起こし、痛み以外の症状はないことが多いです。痛みが激しいので、食事の際に嚙むことが出来ないとか、洗顔や歯磨き、髭剃りができないなど日常生活に支障があります。
三叉神経痛の原因
典型的な三叉神経痛の原因は脳の血管が三叉神経の敏感な部分に当たってしまうことで発生します。
この三叉神経の敏感な部分は限られた部分ですが、加齢による変化などにより脳の血管の位置がわずかに移動することでこの部分に接触してしまい痛みを感じ始めてしまいます。
この原因の他には三叉神経の傍や周りに脳腫瘍が発生することや多発性硬化症という病気になっても発生することがあります。
三叉神経痛の検査
症状の内容や始まった時期、症状の程度のなどを確認の上で脳の病気が疑われる場合には、頭部MRI検査により顔面神経および三叉神経の状態を評価し、脳の血管の病気や脳腫瘍などの有無を確認します。
諸検査を行うことで診断し、適切な治療を早期に開始することで、回復が早まる可能性もあります。症状が出はじめたら、診断と治療のためにも早めに受診しましょう。
三叉神経痛の治療方法
痛みが強くてすぐにでも疼痛を抑えるのには神経ブロック注射をお勧めします。血管が神経を圧迫していることが明らかな原因であったり、脳腫瘍によるものであったりした場合は、根本的な治療を行うことで痛みが治まることが期待されることから、身体の状態が許すようであれば手術治療を検討いたします。
いずれの病気であったとしても、症状の再発や後遺症の可能性を防ぐためにもしっかりと検討したうえで適切な治療を受けましょう。
薬物療法(第一選択)
まずはカルバマゼピンなどの抗痙攣薬を使用し、痛みをコントロールします。しかし、薬の効果が徐々に弱くなる、または薬では痛みが改善しない場合には、外科的治療が検討されます。
微小血管減圧術(外科手術)
血管が三叉神経を圧迫している場合、手術で血管を神経から離し、圧迫を解除することで痛みの改善を図ります。
後頭部がズキッと痛む原因とは?

後頭部にズキズキとした痛みがある場合、その原因は皮膚、筋肉、血管、または神経のいずれかに関連している可能性があります。
筋肉が原因である場合、緊張型頭痛が一般的です。これは、長時間の不良姿勢やストレスによる筋肉の緊張が引き起こすことが多いです。
一方、神経が関与する場合には、後頭神経痛や帯状疱疹が主な原因となることがあります。後頭神経痛は、後頭部の神経が何らかの形で刺激されることによって痛みが生じる状態です。また、帯状疱疹は神経経路に沿って痛みや発疹が現れるウイルス性の病気です。
後頭部の痛みは、単純な筋肉の疲労から深刻な病状まで多岐にわたる原因によって引き起こされるため、持続する場合や激しい痛みがある場合は、適切な診断と治療を受けるために医療機関を受診することをおすすめします。
頭を左右に振ったときにズキッと痛む原因とは?
首が硬くなり、首を回せない、動かすと痛みがある場合、頚椎の病気が関係している可能性 があります。その一つに頚椎の偽痛風発作があり、これは首の痛みに加えて発熱を伴うことが特徴です。
首の可動域が制限される症状が続く場合は、適切な診断と治療を受けるために、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
危険な頭が一瞬ズキッとする頭痛とは?

一瞬のズキッとする頭痛は一般的に神経痛であることが多いですが、中には雷鳴頭痛と呼ばれる、雷に打たれたかのように突然発生する激しい頭痛が存在します。この雷鳴頭痛は、ズキンズキンとした痛みが一定時間続き、通常の鎮痛剤が効かないことが特徴です。雷鳴頭痛の原因としては、くも膜下出血や解離性脳動脈瘤などの脳血管関連の疾患が挙げられます。
解離性脳動脈瘤とは
動脈硬化や外傷により動脈の血管壁が裂けてしまうことで発生する動脈瘤です。
脳の血管のどの部位にでも起こりえるものですが、特に出来やすい部分は椎骨動脈です。
脳血管が乖離することで損傷すると、以下のような危険な状態に進行する可能性があります。
脳血管の狭窄・閉塞 → 脳梗塞のリスク
解離の程度が軽ければ経過観察になります。ある程度の解離があると正常な血管に影響がおよんでしまい血行不良が起こるため脳梗塞を生じます。
脳梗塞を起こすと、その部位により症状が変わりますが、椎骨動脈に出来ることが多いために脳幹部や小脳の梗塞が良く認められます。このような場合には顔や身体がしびれたり、ふらふらとしためまいを感じたりします。
脳血管が瘤状に膨らむ → 破裂するとくも膜下出血のリスク
血管が裂ける時に痛みを感じることが多く、破裂するとくも膜下出血になりひどい頭痛を生じます。出血の程度により重症度が変わりますが、再出血する危険性が非常に高いことから緊急性の高い病気です。
そのため、治療の第一歩として、血管にかかる圧力を抑えるために血圧をコントロールすることが最も重要です。
やはりMRI検査を受けることで診断がつきますので早めに相談してください。
治療と経過観察
解離性動脈瘤は、通常約2ヶ月で自然に修復されると考えられています。この期間中は、MRI検査を繰り返し行い、脳血管の状態や血管壁の変化を慎重に観察します。
雷鳴頭痛を感じた場合は、危険な脳血管疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診することが大切です。