緊張型頭痛の治療薬
頭痛の中でも一番多いのが緊張型頭痛です。多くの場合で首や肩の凝りからくることが多く、一般的な痛み止めや頭痛薬が有効です。片頭痛とは違って体を動かすことが可能で筋肉の緊張がほぐれると痛みが軽くなります。とはいえ、デスクワークが多かったりスマホを見ている時間が長かったりすると姿勢が固定され、首周囲の筋肉の動きが少なくなることから悪化します。運動療法は有効ですが、継続が難しい場合は内服治療が中心になります。ただし、痛み止めを飲み過ぎると薬物乱用頭痛になる可能性もあることから、あまり長期間になるようであれば予防療法や他の治療方法を組み合わせて行く必要があります。今回はこの治療について解説いたします。
緊張型頭痛の治療について
緊張型頭痛は頭が重たい感じが続いてこめかみの辺りが締め付けられるようになってスッキリしない、段々とひどくなってくるためにつらい、集中しづらくなってきて困るという特徴があります。これらの症状が酷くなると痛みが出てくるので、痛み止めを飲んで少し経つと症状は軽くなってきます。このように薬を飲むとしばらくすれば落ち着いてくるのですが、このまま薬の飲むだけを続けていていいのだろうかと不安になっている人も多いと思います。
緊張型頭痛の治療は次の3つで構成されます。痛みを和らげる治療として急性期治療(痛いとき)、筋肉の緊張をほぐす治療である予防療法(痛くならないようにする)とが主体となります。さらには非薬物療法(薬以外の方法)により薬の負担を軽減する治療になります。
筋肉の緊張をほぐす作用のある薬や緊張緩和の作用がある精神安定剤による治療が一般的であり、どこの病院やクリニックでもよく処方されているのですが、これらの種類の薬は効果がはっきりしていないことなどから「頭痛の診療ガイドライン」では治療としての推奨レベルは高くないものもあります。また、1週間に3日以上の頻度で頭痛薬を飲み続けているようであると薬の飲みすぎによる頭痛(薬物乱用頭痛:MOH)になる危険性が高いことから予防療法や非薬物療法なども勧められています。
急性期治療
急性期治療は鎮痛薬の内服が一番です。アセトアミノフェンや非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)になります。NSAIDsにはたくさんの種類があり、どれが一番自分に合っているのかで選ぶことになるのでよく効く薬を試していくことになると思います。緊張型頭痛のどのタイプの方でも痛いときは内服治療になるのですが、稀発反復性の方はあまり病院へ通うこともないので市販薬出済ませる場合が多いです。頻発反復性と慢性緊張型頭痛の方は通院されることが多く、徐々に痛みの回数が増えてきている頻発反復性の方や慢性緊張型頭痛の方には予防療法も必要となります。
予防療法
予防療法は中枢性感作という現象を抑える必要があることから、三環系抗うつ薬であるアミトリプチリンの投与がよく行われており、高い有効性が認められています。しばらくの間は飲み続けて治療をしていくことから副作用に注意しながら治療を行います。副作用が強い場合にはほかの系統の安定剤に切り替えて中枢性感作を抑えて脳を整える必要があるので長期戦となってきます。6~12か月ごとにその効果を見直して、続けるかどうかの判断をしていくので一緒に頑張りましょう。
非薬物療法
非薬物療法には精神療法および行動療法である筋電図バイオフィードバック療法、認知行動療法、リラクゼーション法などのほかたくさんの肩こり体操や頭痛体操といった運動療法や理学療法などがあり、ネットで調べるとたくさん出てきます。また、鍼灸治療も有効とされていますがエビデンスレベルではCとなっています。運動療法などは手軽に行えるものも多いことから薬による医療と併用することが勧められています。
緊張型頭痛のボツリヌス毒素による予防治療についてはガイドラインによると現時点で実施しないことを推奨しています。
おわりに
いかがでしょうか。今回は「頭痛の治療のガイドライン」で推奨されているものを中心に解説いたしました。少々聞きなれない治療方法もあったかと思います。今後もその他の治療方法についてはわかり次第掲載していきたいと思っております。