頭痛の漢方薬と天気痛
天気と頭痛の関係について解説いたします
梅雨の時期と台風の時期には天気な日が少なくて憂鬱になりがちですが、頭もスッキリしなくて重たい感じがするという人も多いようです。また、冬には寒さに加えて雪が降る前にも調子が優れない人も多いですね。このようなお天気の変化と頭痛が関係している人は結構います。
低気圧が近づいて来るといったような気圧の変化が原因とされていますが、はっきりとした原因はわかっていません。ただし、近年では天気予報も精度が上がっていることから雨が降る前から調子が悪くなることが明確である場合には事前に何らかの対策ができるといいですね。嫌な感じが少しでも楽になればと思っております。
あらかじめ痛み止めを早めに飲んでしまうという方もいるのですが、鎮痛薬の飲みすぎには注意が必要であるので、別の対策を紹介いたします。
天気痛について
天気が崩れる前に頭が重たい感じする場合は近年話題になっている気象病とか天気病とか言われていおり、気圧の変化で体調不良をきたすという概念と同様であると思います。
低気圧が近づいてくると身体が浮腫むので具合が悪くなると言われています。身体のどこの部分が浮腫むのかはわかりませんが、天気が悪くなってくるのに先立って頭痛がしてくるような人には五苓散という漢方薬が有効です。
この五苓散は漢方薬の中でも即効性のある薬なので、調子の悪い時だけの服用でも効果を発揮してくれるのと他の薬との相性も悪くないので、ちょっとおかしいかなという時にはまずは飲んでみるといいと思います。漢方薬なので独特の味がしますが、苦みはあまりありません。桂枝がはいっているのでシナモンの味がします。
しかし、効くとはいってもスッキリとするほどは良くならない感じです。でも、飲まないよりは飲んでみて良かったと感じる人は多いです。
頭痛に効く漢方薬
漢方薬のお話を少し追加すると、頭痛外来で処方されている漢方薬は数種類あります。中でも頭痛の診療ガイドラインで取り上げられているのは五種類で呉茱萸湯、桂枝人参湯、釣藤散、葛根湯、五苓散です。
呉茱萸湯(ゴシュユトウ)#31
頭痛に対する漢方薬の代表としては呉茱萸湯です。拍動性の痛みに効くとされており、片頭痛に効果があるとされます。頭が痛い時にだけ飲む場合と普段から飲み続けることで頭痛の発作を抑える場合との両方の目的で使われています。
有効性などでのエビデンスの推奨度はBとされていて、内服を継続した場合でも副作用の危険性は低く他の片頭痛の薬をはじめとする飲み薬と一緒の内服することが可能です。ただし、この中に含まれる呉茱萸の成分が独特の味なので、試してみないと続けて飲めるかどうかはわかりません。内服が続けられないようであれば中断することになりますが、味に慣れてきて飲み続けられるようであれば、継続して内服することで予防効果が出てきます。頭痛がおさまると徐々に減らして中止します。
桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)#82
桂枝人参湯も頭痛に効きます。慢性頭痛に対する有効性がいわれいます。桂枝はシナモンで、体を温める作用があり、人参は滋養強壮の効果があるので、冷え性で体力があまりなく胃腸の弱い方へ処方されています。
釣藤散(チョウトウサン)#47
釣藤散は中年以降のイライラするときの頭痛に効くとされます。さらには夜間の頭痛にも有効です。高血圧にも効くためにこれを合併している場合には試してみる価値があります。桂枝人参湯と同様で慢性頭痛に対する有効性がいわれています。
葛根湯(カッコントウ)#1
葛根湯は風邪薬として有名ですが、肩こりにも効果があります。構成成分が多くないため即効性のある漢方薬とされています。肩こりでも特に首の付け根辺りの凝りのひどい人には葛根湯の内服により症状が改善してきます。この肩こりが原因と思われる頭痛に対して効果があり、長期間の内服でも依存性にはなりません。頭痛の症状で内服するのではなくて肩こりが原因の場合に対して内服していただくので、緊張型頭痛の人には良く処方されています。他には上半身の神経痛や蕁麻疹の方にも処方されています。
五苓散(ゴレイサン)#17
五苓散はめまい・頭痛・むくみに効く漢方です。古くからある薬で構成成分も少ないことから即効性のある漢方薬とされています。この記事の始めでも紹介しましたが浮腫みに効くとからよく使用されています。特に頭痛のある人の中でも天気が崩れる前の頭重感に効果を発揮します。
最近の研究では体内の水分調整に関係するアクアポリン4に作用することがわかっています。これにより脳神経外科で扱う病気の中では慢性硬膜下血腫や脳腫瘍で生じている脳浮腫に対しても使用されています。また、この漢方薬は他にも下痢、悪心、嘔吐、めまい、二日酔いにも効果がありよく処方されています。
漢方薬を飲むタイミング
漢方薬といっても様々な薬があることから一概に同じ作用で同じ味というわけではありません。中には苦いものがあるので飲みづらく感じる場合があると思います。また、食事に影響されやすいことから飲むタイミングも空腹時が良いとされ、食事の30分くらい前または食後2時間後と内服指導されると思います。しかし、このタイミングは普段の食生活ではなかなか維持しづらいもので、飲み忘れの一因となっているようです。
いま、どのような頭痛で困っているかにもよりますが、慢性頭痛のように日々頭痛が続いているようなときは飲み忘れるよりは食後でも内服した方がいいですし、思い出したときに飲んでもいいので、できるだけ内服を続けて欲しいと思っております。
最後に
いかがでしたでしょうか?漢方薬にもいろいろとあるために痛み止めの薬との併用でも相乗効果がある人が多くぜひ試してみていただきたいと思います。
今回紹介した漢方薬のほかにも頭痛に効くものとして処方されているものもあります。漢方医学の診断は西洋医学とは違った観点から処方を行っていきます。また、漢方の専門の先生は証(顔色など)を診たり、おなかを診たりなどして診断した上で処方されています。私自身は頭痛の人におなかを触って診断するのには抵抗があるので行いませんが、極めてくると有用なのかもしれません。
曇りがとれてスッキリとした日常が過ごせることを願っております。