院長コラム

こわい頭痛

疾患説明

 こわい頭痛は?

今回はこわい頭痛には何があるのかを説明いたします。

頭痛が続くと何か悪い病気ではないかと心配になることもあるでしょう。または家族や友人、知人で脳卒中になったり、脳腫瘍になったりと頭の大きな病気になった人がいるとさらに心配になることがあると思います。

脳卒中や脳腫瘍の人たちも多くの場合で頭痛を感じているいます。ではどのような頭痛がこのような病気に関係しているのかについての説明をしていきます。

 はじめに

以前、一次性頭痛と二次性頭痛について簡単に紹介いたしました。二次性頭痛にはたくさんの種類があり、いろいろなことが頭痛の原因になっています。中には軽いものもあれば命に関わるような重症のものまであり、特に危険性が高いものは脳内出血やくも膜下出血などの脳卒中や脳腫瘍になります。今回はそれぞれの特徴を中心に説明します。

どんな頭痛ですか?

 脳卒中について


脳卒中のうち脳出血は突然起こるものなので、ある瞬間からひどい頭痛に襲われるのが一つの特徴です。程度のひどい場合は頭痛と同時に手足の麻痺が生じたり意識がなくなったりして重症のことがあります。このタイプの頭痛は発生するとひどい症状があるために、すぐに救急車を要請して適切な対応をしてもらう必要があります。特にくも膜下出血は恐ろしく、3‐4割の人は発症した時点ですでに重症であり病院へ救急搬送されたとしても約16%の方は亡くなってしまいます。この出血を放っておくと24時間以内に再出血の危険性が高く、もしも再出血を起こすと身体の状態はさらに悪くなり、さらに命の危険が高まるために治療が急がれます。しかし、くも膜下出血の程度が重症であると治療にたどりつけた場合でも、その後の回復が難しいことが多くてくも膜下出血患者の全体で4割が死亡してしまいます。この出血の原因の多くは高血圧や動脈硬化といった成人病に加えて脳の血管に異常が発生することで出血します。くも膜下出血が起こった際には原因究明のために様々な検査を行いますが、脳の血管を調べる検査が特に重要です。脳の血管の異常としては脳動脈瘤脳動静脈奇形脳動脈解離が主だった原因であり、画像診断にてこれらが診断されるとさらに出血をしないようにするための治療として、早期に血管内治療や開頭手術が検討されます。

最近では脳ドックでも脳血管を調べて脳卒中の危険性が高いこれらの脳動脈瘤や脳動静脈奇形、脳動脈解離などの有無を調べています。また、脳梗塞の原因となる動脈の狭窄も調べています。脳卒中の危険性が高いと診断された場合はより積極的な検査を受けていただき、脳卒中の予防ができるような薬物療法や治療を検討していきます。

脳卒中

脳梗塞

 脳腫瘍について

脳腫瘍は良性のものから悪性のものまで種類が多岐にわたっており、どのような種類の腫瘍で脳のどの部分に発生しているかで神経の麻痺や言葉が出てこない、バランスが悪くなるなどの症状やその後の危険性が大きく変わってきます。脳腫瘍が原因である頭痛はなんとなく頭が重い感じではじまり痛み止めを飲んでもまた痛くなってあまりよくならない頭痛が続くのが特徴の一つです。さらに腫瘍が大きくなって生じる頭痛は朝方痛みが出て、起床した後気分が悪くて嘔吐してしまうが、一旦吐くと頭痛と気分が楽になるという特徴があります。
良性の脳腫瘍はゆっくりと大きくなることから、腫瘍が小さいうちは頭痛が出づらいです。一方、悪性の脳腫瘍は早く大きくなるので頭痛が起こりやすい傾向にあります。また、肺がんや乳がんといった身体にできたがんが脳へ転移して大きくなってくる場合でも頭痛が出て見つかる場合があります。さらに、頭痛以外の症状(行動がおかしいとか話がかみ合わない、手足の麻痺など)があれば脳腫瘍の可能性があるので早めに頭部の画像検査を受けるようにしましょう。

その他脳の疾患

 その他の二次性頭痛


慢性硬膜下血腫という病気の場合も頭痛が長く続いて薬の効きづらいときの原因として認められることがあります。中高年でしばらく前に頭をぶつけたことがあるとなり易いとされますが、若い人で頭をぶつけた覚えがなくても発症していることがあります。高齢者では軽い麻痺が出てきて見つかることが多いのですが、若年者では頭痛が続くことで見つかる場合が多いです。このときも頭重感が続くことが主体であり、痛み止めの薬を飲んでもスッキリしないという特徴があります。診断はCTやMRIによる頭部の画像検査ですぐにわかるので心配な場合は検査を受けることをお勧めいたします。もしもこの慢性硬膜下血腫と診断された場合には血腫の量と脳への影響の程度により早期の手術が必要です。手術が必要となった場合、溜まっている血腫を頭の中から洗い流し出す手術を行います。血腫の量があまりたくさん溜まっていない状態では手術ではなくて内服薬で治療することもあります。

最後に

いかがでしたでしょうか?
頭痛というとこれらのこわい頭痛が心配で病院を受診される人が多いです。早めの検査にて診断を受けておくことも心配ごとを解決するためには必要です。勇気を出して相談してみてください。